子供の頃から方向音痴だった。
新入学のこの時期、思い出す出来事がある。
幼稚園への通園は町内を走る乗り合いバスだった。最寄りのバス停まで親に送ってもらい同級生達と通園していた。
入園したての頃、所用で町に出た祖父と幼稚園の最寄りのバス停で待ち合わせて一緒に帰ることになった。
幼稚園での半日が終わり、帰りの挨拶を済ませいざ祖父との待ち合わせのバス停へ向かおうとした。
いつも何となく誰かの後をついてバス停に向かっていたワタシ、幼稚園の門を出た途端、自分が何処にいるのか分からなくなってしまった。
そういう時、子供は泣くしかない。
思いっきりワ~ンと泣くと直ぐに親切な御婦人が駆け寄って声をかけてくれた。
そして、ちょうど目の前にあった交番へ連れて行ってくれた。
祖父の待つバス停と交番の距離は道を渡って反対側で近かったのだが、そのバス停までその騒ぎの様子は届かなかったようだ。
方向音痴ではあったが家の電話番号は暗記していたので家族との連絡は直ぐにとれた。
かくしてワタシはパトカーにて自宅に送り届けられた。
オットットと結婚して良かったことは、彼が方向音痴ではなかったことだ。
オットットと一緒であれば道に迷うことはない。
ただし、道以外の場面では迷うこと多々だったけどね。