始末に困った象牙を寄贈することにした。
博物館で引き取ってくれることになったのだ。
打ち合わせが進み、担当者が現物を確認に来ることになった。
ところが最終確認を舅にすると、あろうことか手放すことをシブリ始めた。
「俺が死ぬ迄待ってくれ」とか、「墓に一緒に埋めてくれ」とまで言い出した。
20年くらい前は床の間に飾ってあったけれど、現在はボロ布に包んで物置き部屋に放って置いてある。本人は何処に置いてあるのかも忘れているくらいなのに、この期に及んで何を言い出すのだ?
そんなこんな揉めてる間に博物館の担当者が家に来た。
さて、困った。
博物館の人達に小声でじぃちゃんは認知症の旨を伝える。
じぃちゃん、久しぶりに象牙を眺めつつ、手に入れた時のエピソードを滔々と語り始めた。ん?聞いてた話と違うぞ。大分脚色したようだ。一通り昔話をすると気持ちも落ち着いたよう。
先ずは「貸し出し」することを了承してくれた。
こちらは「貸し出しからの寄贈」を目論んでいる。
どうやらじぃちゃんは話を聞いて欲しかっただけ。象牙に特別愛着があったわけではなさそうだ。
「こちらの思い通りに事が進まない時はその裏にある相手の気持ちを思いやること」
〜じぃちゃんのトリセツより
象牙問題、落着。