1000枚のトースト

ささやかな日常をしとやかにシタタカに綴ります

祖母の誕生日

亡き祖母の誕生日は「4月1日」だった。

祖母ほどその誕生日が似合わない人はいない。

4月1日と言えばエイプリルフールだ。

最近はそうでもないが、以前はもっと明るく楽しいウソをつきましょう♫みたいに盛り上がっていた。

もしも祖母がちびまる子ちゃんのおばあちゃんみたいな人だったら、きっと楽しいウソで誕生日を祝うことをしていただろう。

明治生まれの祖母はいつも和服を着ていて、背筋がスッと伸びた、厳しい人だった。

冗談を言うこともなく、浮ついたところもなかった。

田舎だったのでご近所付き合いが密、お茶飲みが盛んな地域なのだが、祖母はそういうことも好まなかった。

妹やワタシが方言を使うことも許されなかった。今思うと祖母のイントネーションや語尾は充分訛っていたのだけれど。

4月1日というと先ず祖母を思い出す。

浮かれて嘘なんかつく気にはなれない。